spot_img

F1種と固定種の違いについて

農産物は市場経済において、形の悪い商品や規格外品はその多くが破棄処分されます。
形が揃い歩留まりがよく、ある生育条件に適応させた品種を掛け合わし改良した一代限りの品種が一般にF1種といわれます。

引用 タキイネット通販 F1品種から採種したタネで、野菜を育てて収穫することはできますか?

F1種は採種専用の圃場で商業的に量産されており、ブランド化されているのが一般です。
収穫物は、グレードによりますが比較的安価に市場に出回ります。
最近はブランド種苗とそれに特化した専用農薬でのセット販売といったビジネスも多くなってきています。

種はブランドとしての価値が付与されるほか特許や付属する契約が絡む関係、一度買ったものなのだからいいだろうと種苗を第三者に販売したり、自家採種して次期に再び栽培するといった行為は問題となるので注意が必要です。
近年は遺伝子解析技術も向上し嘘をついても科学的に証明されるので違法行為は慎むべきでしょう。

昔から種はその土地になじむまで最低9年世代交配を重ねる必要がある、と聞きます。
なじむ、ということはその土地に環境適応したという意味ですから収穫量や品質も農薬などにあまり頼らずとも安定するということです。
その土地になじみ、昔ながらの手法で採種してきた人工的な遺伝子改良をされていない種を固定種と呼びます。

固定種は商品価値として品質にバラつきが出やすく、味や見栄えという意味でF1種に劣る場合が少なくありません。
したがって近代化した大規模圃場化の傾向において、需要や採種の手間から固定種を販売する種苗会社は年々減少傾向にあり、ほかの入手方法としては代々固定種を育ててきた生産者から売ってもらう、もしくはわけてもらうしかない現状となっています。
また取扱量も少ない関係、品種によっては早めに購入・予約しないとすぐ売り切れてしまう場合が多いようです。

一方で遺伝子組み換え作物の安全性が問題視されている近年、固定種はリスクを嫌う方や健康志向の消費者らから注目されています。
特に無農薬もしくは減農薬かつ品質のバラつきや味見栄えをあまり気にしせず、少々高価になっても長期的に見るならば健康リスクを軽減できるといったことを考慮した購買者からのニッチなニーズに対しブランド化、定期的リピート獲得に成功している生産者も少なくありません。

最近問題となっているのがF1種の特許に関わり、固定種圃場と種が交雑する問題かもしれません。
また無農薬・減農薬栽培により害虫の被害が他の圃場に及んだ場合などで、注意が必要です。

このように作物の種を撒いて栽培し、来年は採種した種を使えばいいだろう、同じものができるだろうという単純な問題ではありません。
一方購買者は固定種や無農薬・減農薬の作物には相応の手間とコストがかかり価格に反映されるのだということを理解していただければと思います。
特許やブランドに縛られない、土地になじんだ固定種はの種苗は宝物といえるでしょう。

引用 固定種販売 野口のタネオンラインショップ/野口種苗研究所
引用 固定種販売 株式会社 信州山峡採種場

画像提供 bobitexshopによるPixabayからの画像

Nakahara
Nakaharahttps://www.freeenergyparty.jp
フリーエネルギー・高効率自然再生エネルギーならびに高度循環型社会のアマチュア研究家。

Stay Connected

0ファンいいね
0フォロワーフォロー
0購読者購読
- Advertisement -spot_img

popular Articles

Translate »